「NHKドキュメンタリー ZARDよ永遠なれ 坂井泉水の歌はこうして生まれた」を観て~刺さるコンテンツ(23)

 皆様おはようございます。TOSHIXXXです。

 またこの日がやってきました。5月27日。本日は元号が令和になってからの初めての坂井泉水さんの命日ですよね。

 そこで今回は先日(5月18日)にNHK BSで再放送されたZARDの特集番組の感想をアップして、在りし日の坂井泉水さんを偲びたいと思います。

 

 

1.この番組との不思議な縁

  以前に住んでいたのは職場の宿舎でして。そこではNHK-BSは観れなかったので当然衛星放送には加入していなかったんです。

 帰阪してからもバタバタしていて、この番組が初回放送された時も全然知らなくて。

 ただ連休中に今のUR公団に入っている住人は強制加入ですよ。そんな話をNHK職員の方にされてやむなく契約をしました。

 すると丁度5月18日にこの番組の再放送があり、しっかり録画もして視聴することに。CMなしの2時間。その全部が坂井泉水さん。あまりに濃厚で、夢の様に幸せな時間でございました。

 ZARDの楽曲の軌跡は勿論のこと、人間・坂井泉水を本当にこれでもかという位、深く深く掘り下げてくれていました。山本彩さんのナレーションも良かったです!この番組を観れたことだけで、もう受信料の元は取れた気がしますね(笑)。

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2.坂井泉水 ZARDのボーカルに ~春~

  最初の30分は、蒲池幸子という音楽好きの少女がいかにしてプロの歌手になったのか。坂井泉水誕生に至る貴重なエピソードが満載でした。

 正直高校時代まではそんなに垢ぬけていないと言いますか。勿論今の坂井さんにつながる片鱗はあるんですが、最近のアイドルの方みたいに幼少期から別格の美人!!という感じは無かったですね( ゚Д゚)。

 勿論整形とかはされてないですが、将来は坂井泉水になりたい。そんな潜在意識が蒲池幸子さんの時代から彼女にはあって、段々現実がその思いに追い付いていった。私にはそんな気がいたしました。

 元々はBBクイーンズのオーディションに応募していたらしいですが、そこには選ばれず。ただそこでビーイングの総帥、長戸大幸さんが彼女の歌声に惹かれ、ソロプロジェクトZARDが誕生することに。正に運命の扉が開いた瞬間ですよね!!そしてその時に二人は楽曲の作詞は坂井さんが行う。そう約束したらしいですね。

 程なくしてデビュー曲「Good-bye My loneliness」が完成。1991年2月10日のことでした。

 当初からブリティッシュロックのテイストはあるなとは感じていたんですが、モチーフにしてたのがあの坂本九さんの「涙くんさよなら」だったとは!!かなり意外でしたが、それだけ普遍的な名曲を作ろうと皆で力を合わせてたんですね~。PVは駆け出しの頃の岩井俊二監督が撮ってますし。

 ただ正直、今聴けば一番ZARDらしくないシングル。そんな印象もしますね。ベスト盤企画のファン投票でも上位30位に入って無かったですし(+_+)。

 ドラマの主題歌でそこそこヒットしましたが、何かこれ1曲で消えてしまうのではないか。正直インパクトがある楽曲でもなく、当時はそんなタイアップ頼みのアーティストが沢山いましたからね・・・。

 そんな訳でまだまだ試行錯誤。ブレイク前夜の雰囲気が満載のデビュー曲制作秘話でございました。

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3.日本中を席巻した大ブレイク ~夏~

  ZARDを真にZARDたらしめた。その楽曲といえばやはり私は6thシングル「負けないで」ではないかと思うんです。

 それまでのシングルとアルバム「Hold me」まではマニアックさが目立ち、坂井さんも無理に都会のいい女を演じていた(させられていた?)気がするんです。歌詞も大人の恋愛模様がほとんどでしたし。

  でも「負けないで」団塊ジュニア世代の若者の応援歌をストレートに作ろうとしたんですよね。案としては「頑張れよ」「愛してる」とかもあったらしいんですが「負けないで」という言葉が絶妙だったと、当時のプロデューサーの寺尾広さんが語っておられました。

 イメージとしても無理して高級イタリアンでランチして、夜は濃いメイクして3高(死語ですね)男子を狙ってコンパ三昧だった女性が、本来の素朴な自分に戻ったと言いますか。

 メイクも薄くし、自炊したお弁当を公園で食べる生活。もう疲れたよ~、本当の自分はこうなんだと開き直る。するとそんな時に心から信じられる運命の相手と出会った。よくそんなエピソードって聞きますよね。

 正に「負けないで」は坂井さんにとってそんなイメージだったのでは。正直最初はビックリしましたから。え、ZARDってこんな乙女路線のアーティストだったっけ!?って。でもこっちが本当の坂井さんだった。だからこの曲はZARD最大のヒットを記録し、音楽史にも残る不朽の名曲になったんですよね(*^^*)。

 番組では坂井さん直筆メモが何度も紹介されていますが、中に「今はそばにいないけれど それでも心はいつも近くにいるよ」という文面がありました。これは皆様お気づきの通り、「負けないで」の歌詞の中にも転用されています。

”どんなに離れてても 心はそばにいるわ”ですよね。(今となれば本当に色んなことを考えてしまう言葉なんですが・・・) 

 この言葉こそ、等身大の坂井さんを現しているんじゃないかなと。自身の生きる力も正直そんなに強くないから「お前らも私みたいに頑張れ、それくらいできるだろ!!」とは言わない。でも芯は強くて、日々迷う私達の背中をそっと押してくれている。

 やっぱり坂井さんって、努力の方だった。そんな気がいたします。勿論上記のような高飛車な方達ではないですが、例えば宇多田ヒカルさんや椎名林檎さんみたいな天才肌の方なら「負けないで」のような曲は作らないし、そもそもそういう発想が浮かんでこないのではないかと。そう思うんですよね。(勿論お二人の楽曲も大好きですけどね)

 いい意味で庶民的。飾らない魅力。初夏の風に揺られる新緑のような爽やかさに溢れている。そこが私達の共感を呼び、ミリオン連発につながったのはないでしょうか。        後半に入るまでの30分は「揺れる想い」の完全プロモ放送も含め、本当にZARD全盛期を感じる時間でしたね(*^^*)。(番組で紹介されていた「負けないで」の英語バージョン、是非リリースしてほしいです!!)

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4.ZARDに救われた人々・休養後の日々 ~秋~

  後半はZARDの楽曲、坂井さんの歌詞に救われた沢山の方が登場します。皆さん思い入れとのめり込み方が凄くて、私などまだまだライトなファンだったんだなと痛感いたしました(>_<)。

 そんな方達の中で一番印象に残ったのはWエンジンのチャンカワイさん。唯一の芸能人ということもありましたが、昔の自分を支えてくれたのが「My Baby Grand~ぬくもりが欲しくて~」だったと。そこが本当に興味深かったんです。

 この曲は1997年12月発売でオリコン3位。もう売り上げは落ち着いてきていた頃で、そんなにZARDの歴史の中では有名なシングルではない気がするんです。そんな一曲がチャンさんの背中を押していた。その事実にZARDのアーティストパワーはやっぱり尋常ではなかったんだなと。やっぱり坂井さんって凄い!!

 でも"宇宙の底に 二人生きてる"この部分の歌詞を自分なりに解釈していたチャンさんも、やはりただものではないなと。今の自分の悩みなんて宇宙から見たら小っちゃい。だから頑張ろうよ。

 それ位なら私でも思いつくんですが、その次の「勇気をつける種がね、やっと雑踏に混じってわかったんです」というコメントに完全ノックアウトされました。

   何と云う凄い感性!!

   正に 詩的という言葉がピッタリです。さすが一流の芸人さん。やっぱり非凡ですよね~、そして何よりチャンさんを覚醒させた坂井さんこそ、本当に半端ない( ^)o(^ )。改めてZARDのアーティストパワーを感じたエピソードでございました。

 その後は2001年の1年間の休養、2004年の初ライブツアーのエピソードも登場しますが、前半に比べると少しずつ悲劇の影が見えてくる。そんな後半の最初の30分でございました。

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5.喪失・歌姫は二度と還らない ~冬~

  ラストはもう語るまでもなく。もし坂井さんの人生が大河ドラマなら、それこそ「義経」や「真田丸」と同じ。やっぱり悲劇で幕を閉じる物語と言うのは、ただただ辛いですよね・・・。

 子宮頸がんを告知された時の坂井さんのメモが残っていまして。それは少年の独白という形式を取っているんですが、坂井さんの無念や恐怖の思いが痛い程伝わってきて、観ていて本当に辛かったです。

 しかしそんな中、それでも自分を奮い立たせるために書かれた?最後の文言に私は非常に感銘を受けました。                        

  「長い人生にはどうしても避けられない道がある そんな時は黙って歩くんだョ」

 実は私も今、どうにもならない苦悩と袋小路の最中にいまして。この言葉、何だか優しい姉が弟に語り掛けているように思えたんです。実際の私は長男なんですけどね。私も黙って歩いていきます。いつかまた、必ず光が差すと信じて。

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6.最後に

  ラストは再び「負けないで」。あの日から12年。今も多くのファンが坂井さんのことを偲んでいるに違いないのですが、私はやはり青春時代にZARDの楽曲を聴け、坂井泉水さんという不世出の歌姫と同じ時を過ごせて、本当に幸せだった。

 いつか坂井さんに伝えたいです。貴女のお陰で僕もここまで来れました。本当にありがとうございましたって。そのためにはこれからもうひと踏ん張りしていかないといけないんですけどね。

 今年も、久々の大阪の地で見つけた花々を坂井さんに贈りたいと思います。歌姫坂井泉水よ、永遠なれ。

 皆様、長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

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