おめでとう!仙台育英高校~或る関西人からの祝辞~

 皆様、こんにちは。TOSHIXXXです。

 遂に100年の扉が開く!!高校野球ファンならもう説明不要ですよね。そうです、去る8月22日に行われた第104回全国高校野球選手権宮城県仙台育英高校が、遂に東北勢として初めて全国制覇を達成、正に歴史が動いた瞬間でございました。

 岡山生まれ大阪育ちの全く東北にかすりもしないワタクシ(笑)でございますが、それでも今回の優勝には大きな感銘を受けましたので、乱筆乱文ながらも祝辞がてら記事にさせていただきたいと思います。

 

 

1.運命の満塁弾!涙の決勝戦

 仙台育英8-1下関国際。

 結果だけを見れば、仙台育英の圧勝(最近は暑さの関係か、大差のつく決勝戦が多いですね)に終りましたが、試合の流れを見れば決してそんな一方的な展開では無くて。

 ワタクシは仕事から帰宅後、録画でこの試合を観たんですが、途中までは0-0の白熱した投手戦。

 東北勢はいつも決勝戦で点が取れない。そんな嫌なジンクスを感じましたが、仙台育英は無事に1点を先取。その後も少しずつ点差を広げ、7回裏に岩崎選手が放った決勝戦史上4本目の満塁ホームランで決着が着きました。

 決勝戦の満塁弾、4本中2本は佐賀県勢。2007年佐賀北高校の逆転弾は余りに有名ですが、史上初の満塁弾は1994年の佐賀商業。優勝候補だった同じ九州勢の鹿児島の樟南高校相手に互角の戦い。そして9回に西原選手が、佐賀県勢の初優勝を決定づけた一発を放ちました。

 当時、ワタクシは甲子園で清掃の学生アルバイトをしていて、丁度決勝戦は仕事前だったので当時のバイト仲間と現地観戦していました。9回2アウト満塁でスタンドに吸い込まれていった弾道。響き渡る歓声と悲鳴・・・。今でもその光景はよく覚えています。

 あの満塁弾はすぐにホームランと分かるものでしたが、今回の岩崎選手の打球は初め、外野フライかと思う緩慢なもの。それでも浜風に運ばれてあれよあれよの内にレフトスタンドに。大きく球場がどよめきました。

 岩崎選手は昨年に大病を患い、一時は野球を断念しかねない状況に追い込まれていたとか。そんな彼が放ったあの一打は正に奇跡、天意すら感じられて。

 決勝に挑むこと春夏通算13度、数々の不運に泣いてきた東北勢。その過去を振り払い、今までの負けを全て取り戻すような満塁ホームラン。きっとこの一打は後世までずっと語られていくのでしょうね。

 大差がついたものの、お互いにノーエラー。どちらも最後まで諦めることの無い、真剣勝負の決勝戦だったと思います。惜しくも準優勝に終わった下関国際も大阪桐蔭、近江を下した実力は充分に発揮できていたと思います。きっとこれから中国地方の新たな強豪として活躍を続けるでしょうね。

 

2.野球の神様は、ちゃんと存在していた

 真紅の大優勝旗の白河の関越え。それは東北勢の107年目にしてようやく叶った悲願。正直なところ、ここに辿り着くまでの苦労は、他の地域より遥かに厳しい物だったと思います。

 いつも決勝戦の相手は(ほぼ)格上。しかも打線が全く点を取れなくなる。

 少し前になりますが2011年の決勝戦、ワタクシは青森の光星学院のアルプススタンドで応援をしておりました。

 まあこれは東北というより、初出場前に洗平竜也という好投手(今大会で息子さんが甲子園出場されていましたね!)を擁しながら3年連続で県大会決勝で敗れたエピソードから光星を応援していたからなんですが。

 しかし結果は日大三相手に0-11の惨敗。わずか2安打に封じられ、本当に目も当てられない位にいいところなしの敗戦に、これは東北勢の優勝はまだまだ夢のまた夢の話だな・・・。つくづく感じたものでした。

 東北勢は何とかこの決勝の壁を破ろうと悪戦苦闘していた訳ですが、それが悪しき方向に向かっていた時期も丁度この頃だったかと。

 下手すると県内選手がゼロの野球留学生だらけのチームの乱立、サイン盗みやラフプレー、更には部内の暴力事件・・・。まあ特定の高校だけ、ということではないんですが勝ちたいの気持ちが空回りして余計に野球の神様に嫌われてしまっていた。丁度2010年代の東北勢は強くなりつつも、まだ未熟さが目立っていた気がするんですね。

 今回の最初の優勝校が仙台育英で良かった。しかも今のクリーンな仙台育英で良かった。逆にだからこそ、今年チャンスがやってきた。ワタクシにはそう思えてなりません。

 レギュラーの内、県内選手が半分、後のほとんども東北出身という正にオール東北といえた布陣。そして先進的だった5人の投手の継投策。長打を狙わず、シャープな単打を積み重ねる打線。

 それら全ては今まで決勝で東北勢が勝てなかった原因を分析し、修正した結果。今年のチームはその集大成だったのではないでしょうか。

 東北一の大都会、仙台市にある高校。しかも現在の東北の強豪校はほとんど平成後期から強くなった新興勢力である中、仙台育英だけは昭和の頃から強かった。

 ワタクシの記憶には大越投手を擁して準優勝した1989年、準々決勝で元木大介さん率いる上宮高校が2-10で大敗した記憶も鮮明に残っています。

 あの頃、東北勢で大阪の高校が勝てないとすれば仙台育英東北高校位しかなかったという印象でした。

 ですので、やはり東北の悲願の扉を開けるべきは宮城県勢、つまりは仙台育英しか考えられなかった。我らが大阪桐蔭高校にも大きく影響を受けたと公言する須江監督、選手や関係者への思いやりに溢れた優勝インタビューも素晴らしかった。この監督の下なら選手ものびのびとプレーが出来ると思います。

 かつてのスパルタ鉄拳制裁や、期待しているからこそあえて厳しくする。そういうカラーも全否定はしませんが、もう時代は令和ですからね・・・。はっきり言って、古いです。これからは須江監督や我らが大阪桐蔭高校の西谷監督のような人格者が、強いチームを作っていく時代になるんでしょうね。

3.次に奮起すべきはどこの地域?

 今大会で東北勢は遂に悲願の初優勝を遂げ、準優勝の下関国際も山口県勢として久々に存在感を示した。こうなると同じ雪国としてハンデを抱えながら頑張る北信越勢にも頑張ってほしいですね。敦賀気比が今は孤軍奮闘している感じですが、一時の勢いが無くなってきた日本文理、星稜、富山第一辺りにも期待したいですよね。

 後はワタクシの両親の出身地の岡山県。春の選抜も地味にほぼ毎年出場できているんですが、中々最近は勝てていません。気候も温暖だし、高校の数も少なくないし、岡山市も充分大きい地方都市だと思うので、是非同じ中国の山口県の活躍に刺激を受けてほしいですね~。

 何はともあれ、優勝決定の街の動画を見る限りでは「あれ、もっと喜ばないの!?」と感じたものの、号外をゲットするために皆さん無言でダッシュ、たちまち長蛇の列ができてしまう(笑)。

 そういう所がシャイだけど、心の中はグッと熱い。本当に東北の方達らしいなあと微笑ましかったです。コロナ前には仙台に旅行に行きましたが、また近い内に訪れたいですね。

 とにかくみちのくの夢の成就、部外者のワタクシも大いに勇気づけられました。改めておめでとうございました!!これからも近畿勢と共に、良きライバルとして切磋琢磨して活躍してほしいです。

 それではまた、皆様、良い休日を☀