奇跡のバンド BUCK-TICK 最新作「ABRACADABRA」と私~刺さるコンテンツ(29)

 皆様、こんにちは。TOSHIXXXです。

 コロナ禍の只中ではありますが、ワタクシは本日、グランキューブ大阪で開催されるBUCK-TICKのフィルムコンサートに赴く予定でございます('◇')ゞ。

 元々は正式の全国ツアーとして企画されていたのが、中止になりかねない状況に追い込まれてしまいまして(>_<)。

 ただ、長年BUCK-TICKのライブを支えてくれているツアースタッフの皆様が(経済的に)非常に苦境に立たされているということで、支援的な意味合いもあって最終的に今回はフイルムコンサートに差し替えられました。

 恒例の年末の武道館公演は定員を減らして開催することが決まりましたが、この状況では到底参戦できませんので(スタッフさん達は機材共々来阪されます)ワタクシは感染対策を徹底したうえで、単身グランキューブ大阪に向かうことにしたのです。

 少し前置きが長くなりましたが、今回のライブの中心になるであろう、最新アルバム「ABRACADABRA」(2020年9月21日発売)がオリコントップ3入り(3位)を果たし、久々にワタクシもハマっている作品になっていますので、出かける前にレビューをアップしたいと思います🎸♬

 

 

1.「ABRACADABRA」全曲ミニ紹介

1. PEACE

 BUCK-TICKのアルバムではお約束のSE。今回はテーマパークを思わせるキラキラ感。聴いている内にポジティブな感情が湧いてきます✨

 

2.ケセラセラ エレジー

 テンポはそれほど速くはないんですが、疾走感を感じる一曲。

 これもテーマパークでVR系ではない方の絶叫系アトラクション(平たく言えばジェットコースターですね)に乗ってこのアルバムの世界に飛び込んでいく感覚を覚えました。

 

3.URAHARA-JUKU

 段々とサウンドはいつものダークな雰囲気に(苦笑)。この曲は個人的には歌詞に注目でございます。これはかつてのガゼットの「HEIYA」と同じ口パク寄せ集めアイドルをディスっている歌なんでしょうか( ゚Д゚)。

 ただ唯一の違いはガゼットの頃は「○○48」で今回は「○○46」ですかね・・・多分。

 「何が欲しい お嬢ちゃん」「おまえはもう お家にお帰り」「今夜はベッドでお眠り 夢の中で夢見ればいいさ」

 あの温厚でジェントルマンな櫻井さんに、ここまで言われてしまうとは・・・昔は自身も人気先行バンドと散々揶揄された故の、愛のムチだと思いたいですね。合掌。

 

4.SOHIA DREAM

 このエキセントリックな浮遊感ときたら!!正にギターの今井寿さんにしか出せない音世界です。

 

5.月の砂漠

  一聴してすぐに分かります。もう一人のギター、星野英彦さん作曲の異国情緒を感じる一曲。BUCK-TICKの30年の歴史に、星野さんが果たした役割は決して小さくないなと再認識する一曲でございます。

 

6.Villian

  これもお馴染み、今井さんのライムで始まる一曲。しかしワタクシは冒頭よりラストの展開に衝撃を受けまして。

 「おまえだ!」

この歌詞のリフレインで段々エフェクトが掛かり、最後は地獄からのわななきのような、正にデスボイスとなって終了するんですが。

 基本的に(勿論わざとじゃないでしょうけど)、LUNA SEA以前のビジュアル系のボーカリストの方って皆さん凄く正統派の歌唱法で、ディルアングレイの京さん以降、ビジュアル系の伝統芸となったデスボイスやホイッスル唱法は完全スルーしてきているんです( ゚Д゚)。

 その領域に少しだけ、BUCK-TICKも踏み込んでくれた。今の若手ビジュアル系からいうともう祖父母世代(笑)の感覚かもしれませんが、このレジェンドに影響を与えた事実には大いに喜んでいただきたい。そう感じました。

 

7.凍える

 デビューから33年目のキャリアは伊達じゃない!演奏技術は言うまでもなく、櫻井さんのボーカルは驚異のレベルアップ。本当に円熟味を増しました。今だからこそ、心地よい大人のララバイでございます。

 

8.舞夢マイム

 正に昭和のムード歌謡。このアルバム内でも異彩を放っていますが、ワタクシは好きですね~。

 押しも押されぬシーンの重鎮となってもなお、変に格式張ることなくこうした遊び心を忘れない(タイトルもイカしてます!)BUCK-TICKの姿勢は本当に素敵ですね(*^^*)。

 

9.ダンス天国

 この辺りから一気にテンポが良くなってきます。今井さんならではのダンスチューン。櫻井さんのボーカルとの相性ももはや説明不要。本当にマイクとギターがダンスしております♬

 

10.獣たちの夜

 ここからは怒涛のシングル曲連発モード。ただ個人的にはダブルA面だった「RONDO」も収録していただきたかった・・・。

 「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディングに起用されて、話題にもなりましたしね。そこだけが少し残念でございました。

 

11.堕天使

 こちらもシングルですが、キャッチ―でもないし、特別インパクトがあるわけでもない。

 しかしこんな地味な曲でもオリコンベスト10入りを果たしている辺り、しっかり固定ファンが付いてる証拠。例えばワタクシのように(笑)。

 

12.MOONLIGHT ESCAPE

 CD版としてはこちらが最新シングル。癒しを感じるスローテンポ曲です。

 個人的には今作はこういう系統の楽曲が多いのかと思っていましたが、さすがはBUCK-TICK、見事に予想を裏切られました(笑)。

 

13.ユリイカ

 配信限定シングル。「今回は初期のBUCK-TICKに戻った!」「今回のBUCK-TICKは原点回帰だ!」みたいな声が多く聞かれるんですが、個人的にはこの曲だけじゃない?という気がするんですけど(;'∀')。

 しかしこの曲はコロナ禍をぶっ飛ばせ!!とばかりに「TABOO」以前のポップなBUCK-TICKを思い出させてくれます。

 ただタイトルがいつも難解というか、まあ確かに言葉の意味的には「ユリイカ」なんですが、ここは潔くアルバムのタイトルチューンとして、よりキャッチ―な印象がする「ABRACADABRA」という題名で勝負してほしかったですね(*´Д`)。 

 

14.忘却

 後述します。

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2.「忘却」徹底解説

 いやはや、参りましたよ。本当に。

 この曲が収録されていなければこの記事もアップしていなかった。そう確信しています。久々にガツンとやられました。

 サウンドは英国ロックを少し和風にしたような、ダークなスローテンポ。タイトルもこのバンドらしくて実に地味(笑)なんですが、正に衝撃の一曲でございました。

 特筆すべきは詩世界。先日ご子息が芥川賞を見事に受賞されましたが、櫻井敦司さんの言葉のセンス、表現力がいかんなく発揮されていると思います。

 緊急事態宣言の直前に書かれた歌で、櫻井さん自身は今回のコロナ禍に影響を受けている。そうおっしゃっていましたが、ワタクシ自身はあの名曲「die」をも超える、死に逝く者への挽歌だと捉えていて。

 まさかこの歳で、その路線での新たな最高傑作に出会えるとは、予想だにしておりませんでした。

 では最後の歌詞の一節を、少しご紹介させてください。

 

 忘れ去られてゆけばいい 通り雨のように

 何気ないある晴れた日 風が通り過ぎる

 忘れ去られてゆけばいい 今日の虹のように

 何もない ある晴れた日 

 かけがえの無い日々

 誰も 通り過ぎてゆく

 

 特にラストの赤字の部分。久々に大号泣でございました( ;∀;)。

 ワタクシ、死ぬ時は葬儀もいらないし墓もいらない。遺灰を海に撒いてほしい。そこで海の生物達の血肉となり、溶けていきたい。そう考えているんです。

 その時に家族等で誰か一人でもその場に居合わせてくれたらそれでいい。後は思い出したい時に、ワタクシのことを思い出してくれたらそれでいい。本気でそう考えているんです。

 これからも大したことはできないだろう。誰の期待にも、応えることはできないだろう。でも死ぬ時、自分なりに生きてきた。やりきった。そのことには誇りを持って、あの世へ旅立ちたい。

 根本的には「die」の歌詞のように若くして自殺するのが、コスパ的には良かったのかもしれません。

 肉親の悲しみ等を除けば、モテない(イケメンではない)、コミュ障で友達もほとんどいない、仕事でも評価されない、何一つそれで食っていける程の特別な才能やスキルもない。

 それなら生きてても、ただただ劣等感抱えるだけで辛くね?そんなショボいスペックで生きるより、早くリセットボタン押して生まれ変わりなよ。

 実際若かりし頃、後輩に言われたことがあります(もうその後輩は退職していますが)、「生きてて、楽しいですか?」って(苦笑)。確かにワタクシの人生、そういうことなのかもしれません。

 でも、答えが分かっているからさっさと見切りをつける、自殺してしまう👉そんな頭でっかちの人生より、泥臭くてイタくても、それこそ「それでも僕は夢を見る」みたいな死に方になったとしても、寿命が続く限り、生きてみる。もがいてみる。それこそが血肉の通った人生と云えるのではないだろうかと。

 中には嫌な人もいるんでしょうが、ワタクシは若い方(最近は本当に優秀な人が多い!!)と話してて冗談でオジサンと言われても、それが本当に嬉しくあるんです。

 生きてきた年月、重ねてきた日々。その長さと数だけは自分の誇りだから。これからはただ歳を取ってダラダラ生きる人間は邪魔者扱いされるだろうし、高齢者を(今程過剰には)大切にする世の中でもなくなっていくと思います。

 だから年功序列なんて無意味?でも、生きてきた時間の差って、絶対に大きいはずだし、普通に学校出て働いたり、主婦してる方なら人知れず、壁を越え、色んな事も吞み込んでここまで歩んで来たはず。効率&利益最優先の今の世界では、あまりにそのことが軽視されている気もするんです。

 少し話はそれましたが、「忘却」は正にそんな私の死生観にピタリと当て嵌まりました。く~、これだからBUCK-TICKファンはやめられない(笑)。

 是非このブログを目にした皆様にも、一度は聴いていただきたいなと思います(*^^*)。

 

 

3.コロナ渦でも、レジェンドは終わらない!!

  一時期、BUCK-TICKのチャート順位は落ちていました。

 しかしCD業界全体の衰退が著しい中、固定ファンに支えられたBUCK-TICKの売り上げは堅調で、最近ではオリコントップ3圏内の常連(今作も初登場3位を記録しましたね!)に返り咲き、個人的には「Six/Nine」(1995年)以来のオリコン1位も近々獲れるのではないかと期待しています。

 そんな彼等の活躍を支えているのはやはり日々の鍛錬と周りへの感謝。それに尽きるのだろうと思います。

 数年前、最前列でライブを観させていただく幸運にあずかりましたが、その際に感じたのはボーカルの櫻井さん以下、本当に皆様節制されているんだろうな。ホントにストイックにデカダンな楽曲を披露されてるよな~(笑)と改めて胸を打たれました。

 高校時代からの地元の仲間が誰一人欠けることなく、30年以上シーンの最前列で活躍している。毎年年末に日本武道館での公演を継続している。これをレジェンドと云わずして何と表現すればいいのでしょうか。

 本日は映像になりますが、またコロナ禍が収束した暁には生のライブに足を運びたいと考えております。生で「忘却」を聴いて、号泣したい(笑)。メンバーの皆様には、まだまだ頑張っていただきたいですよね。

 それでは本日はこの辺で。皆様も、良い休日を('◇')ゞ