「forever you」を聴きながら~坂井泉水さんを偲んでⅡ~刺さるコンテンツ(16)

 皆様おはようございます!TOSHIXXXです。

 本日は明日からの研修に備え、また帰阪しております。この記事だけは事前登録していたのですが、「Miss デビル」以降の感想は、こちらに戻った来週水曜日以降に随時アップしていきますので、よろしくお願いいたします('◇')ゞ

 ではまた今年もこの日を迎えることとなりました。5月27日は不世出の歌姫、ZARD坂井泉水さんが逝去された日でございます。クックパッドの方でも先週末に坂井さんを偲ぶレシピ「ノンアルカクテル IZUMI」をアップしているので、併せてチェックしていただければ幸いです。

 今年の記事は今年に入ってから料理の時などにずっと聴いていた6th アルバム「forever you」(1995年3月10日)をご紹介しながら、坂井さんの詞の世界を皆様と旅して参りたいと思います。

 

 

1.「forever you」と1995年

 1993年1月の「負けないで」の大ヒットで一躍時代の頂点に立ったZARD。出すアルバムは全てミリオン。最終的には9作連続という日本記録(当然これからも破られることはないと思います)を打ち立てますが、この作品も177万枚を売り上げ、4作連続のミリオンを達成したのでした(*^^*)。

 9作連続の内の4作目、これは正に安定期。徳川幕府で云えば8代吉宗の頃、今を時めくAKBも同じような感じでしょうか。

 換言すれば一体いつこの勢いが衰える日が来るのか?そんな日は来ないのではないのか?相変わらずメディアの露出は皆無でしたが、我々にそれだけのことを思わせるZARD黄金時代でございました。

 ただその頃の日本の世相は、正に世紀末の言葉どおり、本当に混とんとしていました( ゚Д゚)。1月に阪神淡路大震災が起こり(実家のマンションも家財道具が倒壊したり、本当に恐怖の体験でした)、夏にはあのオウム真理教地下鉄サリン事件が。

 経済的にもバブル崩壊が誰の目にもはっきりし、企業でも大リストラが始まるなど、暗い時代☞失われた20年の幕開けでございました。ついでに云えば、私の大学時代も大暗黒時代。この頃はネットでブログを書いて、憂さを晴らすこともできなかったですからね(苦笑)。

 こうして振り返ると、今は少子高齢社会への恐怖が盛んに喧伝されていますが、かつての東西冷戦もなく、バブル崩壊後のような大不況でもない。少なくとも昔よりはずっと平和な時代なんだな。そう感じますね(*^^*)。

 少し話が逸れましたので「forever you」へ戻りましょう。

 このアルバムはダブルミリオンの「揺れる想い」(1993年)や「OH MY LOVE」(1994年)等に比べると地味な存在で、好きなアルバムに挙げる方も少ないかもしれません( ゚Д゚)。ただ人気が安定していた時期なので、このアルバムの坂井泉水さんの詞がのびのびと一番等身大だった気がするんです。

 ではこのアルバムの各曲紹介に参りましょう。

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2.「forever you」全曲ミニ紹介

① 今すぐ会いに来て

 変拍子のアカペラで始まるのが印象的なOP。彼氏のことを思いやる優しい彼女の歌だな。最初はそう思っていたんですが・・・あれれ!?

 ファンの皆様なら当然お気づきなんでしょうが、どうもこの曲は不倫カップルの歌のような気がするんですよね( ゚Д゚)。

「土曜日の恋人」というフレーズが出てくるんですが、この真意は「愛は暗闇の中で」(1stシングル 「Good‐Bye My Lonleyness」CW曲)の歌詞を読めば良く分かります。

 この曲の中に「日曜日は彼女にあげる」というフレーズがあるんですね。まあこれは他に奥さん、あるいは本命の彼女がいる。それが分かっていて付き合っている女性であると。

 まあこの当時はセフレなんて言葉はありませんし、これが坂井さんの実体験なのかどうかは敢えてここでは推測しませんが、妙に生々しい描写が今の歌手の皆さんには表現できないよな。そう感じるんです。

 この路線の歌詞なら他にも9thシングル「もう少し 後少し・・・」(1994年)も必聴でございます( ゚Д゚)

 「もう少しあなたのことを困らせたい」 「思い出の神戸の街で あなたへの手紙したためています」 や 「あなたの生まれた家を見てきました」 なんて鳥肌モノの怖い描写が続出!!今と違って、昔は女性がストーカーだったんですね・・・。

 

② ハイヒール脱ぎ捨てて

 個人的にはこのアルバムの№1ソング。今でも大好きな一曲ですね~。

 主人公は彼氏と別れてしまったんですね。「今なら仕事と恋に揺れたりしないわ」 その歌詞から社会人の女性であることが分かるんですが、これはどう考えても学生時代から付き合っていた男女が就職して別れてしまった。私にはそう思えるんです。

 残念ながら、私は社会人になるまで彼女もいませんでしたから、この感覚が分からないし、何か凄く大人で羨ましくもあると(笑)。

 将来他人の記憶を追体験できるようになれば、この曲みたいなストーリーだけはダウンロードしたいと妄想しております(*´Д`)。

 

③ Forever you

  表題曲。「So Together」と双璧を為す、ウェディングソングだと私は考えています。これが夢のまま終わってしまった坂井さんのことを思うと、やはり私は今も胸が痛むんです( ;∀;)。

 まずは人のことより、自分の心配しろ!!そう突っ込まれるかもしれませんが(苦笑)、私のようなどこにでもいるどうでもいいオッサンのことはさておき、坂井さんはあの歌唱力と、歴代女性ボーカリスト最高レベルと断言できる超絶美人。

 この遺伝子がもし残っていれば、つまりはもし坂井泉水さんの娘さんが生まれていたなら、きっとももクロの百田さんや、乃木坂の白石麻衣さん。あるいは欅坂の平手さんクラス(いや、それ以上?)の逸材アイドルになっていたでしょうからね・・・。つくづくそれが残念でございます。尾崎豊さんや松田優作さんは、その点では次代にも続くカリスマだったんですね。

 でもだからこそ、いつまでも我々は坂井泉水さんファンなのかもしれませんけどね。

 

④ もう逃げたりしないわ 想い出から 

 これも別れの歌ですが、どちらかといえば「二人の夏」に近い路線ですね。

 過去の傷は残るものの、今は新しい恋人もいて、前を向いている。だから私は未来に向かって生きていく。そんな強い意思を感じます。

 ただこの歌詞で少し特異だなと思うのは「今どこで暮らしてますか まちを出たと聞いた」という部分。この「まち」という部分の漢字が「東京」になってるんですね( ゚Д゚)。

 私のイメージではこの「まち」は仙台とか広島の地方都市で、そこから上京するのが定番かと思うので、この逆張りの坂井さんの感覚は新鮮でございました( ゚Д゚)。

 

⑤ あなたを感じていたい

 13thシングル。ドコモのCM曲でお馴染みでしたよね。

 いい曲なんですが、浮いてる(*_*)。基本的にシングルはタイアップありきで作ってますから、アルバムに全然合ってないんです。ZARDのアルバムって、いつもコンセプチュアルですからね・・・。

 

⑥ 気楽に行こう

 いいですね~。表題通りポップで軽快な一曲。

 倦怠期に突入している女性の揺れる心が、上手く表現されています。でも可愛らしいな、この感覚ってホント20代までですよね。お金より愛が先♡という時代が懐かしいです(笑)。

 まあ爽やかですから、今の季節にピッタリです。特に最後の歌詞が大好きです。「風が止まった 二人に夏の想い出下さい」

 く~、最高ですね!!坂井さんのピュアモード全開(*^^*)。ついでに云えば今の女優さんなら、ワタクシ一押しの白石聖さんがドンピシャでハマりそうな一曲でございますよ。

 

⑦ Im in  love

  最高レベルの歌詞!!後述します。

 

⑧ こんなにそばに居るのに

 12thシングル。この曲も誰もが知る有名曲なんですが、やっぱりこのアルバムの中では完全に浮いてますね( ;∀;)。

 

⑨ Just belive in Love

  14thシングル。このアルバムの実質リードシングルであるため、この曲だけは激ハマり!!ついでに云えば実質上締めの一曲と云えます。この曲についても後述いたします。

 

⑩ 瞳そらさないで

 DEENに歌詞を提供した坂井さんがセルフカバー。ボーナストラックみたいなものですが、ボサノバ調のアレンジが功を奏し、想像以上にこのアルバムにハマっております。曲調も明るいので、ポジティブな気持ちで聴き終えることができますね(*´Д`)。

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3.「Im in  love」徹底紹介

 まずはこの曲の歌詞をご紹介いたします。

 (作詞:坂井泉水 / 作曲:織田哲郎

 

 今日も心震わすニュースのパレード

 Oh! I feel so blue 

   偽りを知らない瞳がブラウン管からこっちを見つめる

 なんて無力なの 彼等を救えない

 私の失望(なやみ)は小さすぎるわ

 

 Im in love 時代はいつも変ってゆくけど

 ヒーローがいるわ

 Im in love 信じる者は救われるのよ

 辛くてもいつか We got power of love

 

 お隣りの顔も知らない

 冷凍食品(レトルト)にも飽き飽きしてる

 常識は打ちのめされた

 シングルライフを楽しむ彼女

 (No No!)何か忘れてる 人間(ひと)を愛するってこと 

  環境破壊よ あなた自身の

 

 

 Im in love 時代はいつも変ってゆくけど

 ヒーローが欲しい

 Im in love 闘うことに疲れても

 そんな時こそ淑女よ We got power of love

 

 

 Im in love 時代はいつも変ってゆくけど

 ヒーローはいるわ

 Im in love 夜明けはいつかやって来るのよ

 諦めないで We got power of love

 

 ・・・いやはや素晴らしい!!個人的には坂井さん作詞曲では、№1の歌詞だと思っています(*^^*)。

 特に最高だと思うのが「環境破壊よ あなた自身の」という部分です。これには本当にドキッとさせられましたし、他の作詞をする方からはまず出てこない、坂井さんオリジナルのフレーズだと思います。

 個性的な歌詞ということで云えば、Bzの稲葉さんもそうなんですが、稲葉さんはもう味がどぎついというか分かりやすいんですが、坂井さんの場合は一見薄味なんですがよくよく賞味してみるとこれは!!という感じなんですよね~。 

 取り合えず私も未だに訪れない夜明けを信じてこれからも生きていくので、坂井さん、見守っていてくださいね(笑)。

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4.「Just believe in love」徹底解説

 こちらもまずは歌詞をご紹介いたします。

(作詞:坂井泉水 / 作曲:春畑道哉

 

 ※1すり切れる程 聴いたアルバムが

 あの頃たった一人の友達だった

 出会いと別離(わかれ)を繰り返し

 人は大人になる 

 たどりついた 今あなたに

 

 Just believe in love

   あんなに熱く焦がした想いが揺れている

 感じてるあなたの愛を身体中

 このまま溶けていく 

 遊び疲れて眠る子供のように

 

 ※2降りしきる雨が虹に変わる

 歳の差の迷いを捨てて飛び込んだ

 今 この瞬間に夢が覚めてしまわぬように 強く

 抱きしめて 私を

 

  Just believe in love

※3形のない愛に理由(わけ)もなく 泣きたくなるけれど

 誰よりも あなたの温もり信じてる

 何かに 傷ついては 

 そんなとこ二人は よく似ているね

 

  Just believe in love

 あんなに熱く焦がした想いが揺れている

 微笑みも 忘れたくなるこの都会(まち)で

 つまずくことさえも 明日への希望へ変えてゆこう

 

 明日への希望へ変えてゆこう

 

 まずはイントロが最高です!!この曲は春畑道哉さん作曲。春畑さんと云えば言わずとしれたTUBEのギタリスト兼コンポーザ―。

 軽快な元祖夏うたを奏でるバンド。そんなイメージのTUBEですが、結構マイナーコードの名曲が多く、そういう曲では春畑さんの泣きのギターが本当にぎゅんぎゅん飛び交っております( ゚Д゚)。「ガラスのメモリーズ」なんかは本当に切なくて、もう一つのTUBEの魅力が全開の名曲でございます。

 ということで、全編マイナーコードで発売もアルバム発売直前の2月(卒業前のセンチなシーズンですよね)ということもあり、この曲は正にZARDのシングル屈指の切なさを纏った一曲ですね。

 そして歌詞は一見恋愛のようなんですが、私はずばり坂井泉水さんからファンに宛てた感謝の一曲」という解釈をしております( ゚Д゚)。

 そこでもう一度歌詞を紐解いていきたいんですが、まずは※1の部分。

 擦り切れる程憧れのアーティストのレコードを聴いていたのは、若かりし日の坂井さんなんじゃないでしょうか。

 坂井さんは苦労人。本意ではないレースクイーンや完全黒歴史のヌード写真集を出してさえも、歌姫としてブレイクするきっかけを追いかけてた方なんです。

 その結果ZARDは大ブレイクし、坂井さんは不世出の歌姫となった。「たどりついた 今あなたに」とそこに続く「身体中に感じる愛」

 あなたとは紛れもなく、ブレイクした今の位置に自分を立たせてくれたファンのことだったのではないでしょうか(*´Д`)。

 遂に夢は叶った。でもそこに至るまでに坂井さんが傷つき、苦しんだであろうことは容易に推察されます。それを※2のラブストーリーで暗喩していると。

 年の差の迷い・・・って、相手はオッサン?もしかしてバツイチで子持ち!?

 本当に20代の女子の理想の結婚と云えば、それこそエンゼルスの大谷選手みたいな男性とゴールインすることでしょう(*´Д`)。お金も地位もあり、変なコブもついていない。勿論同世代。何より優しくて浮気しなさそうですしね。

 もし坂井さんがそれこそ宇多田ヒカルさんや後輩の倉木麻衣さんみたいにすぐにデビュー&ブレイクしていたら、白馬の王子様が突然私を迎えに来てくれる。そんな夢見る夢子ちゃんみたいなラブストーリーを※2で描いていたんじゃないか。私はそう思うんです。

 そして※3です。坂井さんはトークが苦手でいかにも不器用そうな女性でした。そしてそれは勿論我々ファンもしかり。そんなとこ、私達はよく似てるんですね(苦笑)。

 例えば私について云えば一応普通には聴くけど、断じてサザンやドリカムのファンではなかったのは、やはりこの人達のファン層は基本リア充な人達だったから。そう断言できると思います。

 勿論リア充さんにもそれぞれ悩みはあると思います。でも、根源的な悩みを抱えていた訳ではない。根源的な悩みとは何か?それは「生きるのがしんどい苦しみ」「周りに選ばれない苦しみ」そこに尽きるんです。

 モテない。仲間が少ない。どこに行っても浮いてしまう。他にも就職試験で連敗しまくる。これすなわち全て周りに選ばれない故の悲劇であり、入り口にすら立たせてもらえない屈辱。ちなみにいうまでもなく、これは全て私にも当てはまります(涙)。

 ・・・こういう性質だと生きていくのが、本当にしんどいわけですよ。例えるなら他の人より5倍くらいキツイ重力で生活しているといいますか(*_*)。

 でも坂井さんは自分達のファンにそういう人が多いことをちゃんと分かっていた。「選ばれない苦しみ」。それはブレイクまでに時間が掛かり(26歳での本格ブレイクは当時ではかなり遅いです)、フリートークが超絶苦手だった坂井さん自身も正にそうだったから。

 そこの所が分かったうえで最後の※3を読めば、もう我々としては号泣するしかないですよね( ;∀;)。「つまずくことさえも 明日への希望へ変えていこう」そこを2回も強調してくれている。これを刺さるコンテンツと云わずして、何と呼べばいいのでしょうか!?

 こんな我々の苦しみが分かる坂井さんは、やっぱり生粋のプリンセスではなかった。誤解を恐れずに云えば坂井さんは、平成版マグダラのマリアだったんだと思います。

 ファンからの形のない愛に、何より感謝していてくれていた坂井泉水さん。そんな優しくて繊細な坂井さんのことを、我々ファンが忘れられるはずがないですよね。もしこの記事が刺さった方がいれば、是非もう一度この曲を聴いてみてくださいね('◇')ゞ

 

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5. おわりに

 いやはや、今回も思う存分語り尽くしてしまいました(>_<)。でもそれだけ坂井泉水さんは不世出の歌姫で、我々ファンは坂井さんのことを忘れられるはずがないということですよね。

 「forever you」。この言葉は多分我々ファンに宛ててくれたものだと思うんですが、今は私達が天国の坂井泉水さんにこの言葉を伝えないといけないですよね(*´Д`)。

 では先週、隣町の紀宝町浜街道熊野古道です)を歩いて、そこで綺麗な花を沢山目にしましたので、それらを今年も坂井泉水さんに贈りたいと思います。

 今回も長文にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。

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