「眩(くらら)~北斎の娘~」を観て

 皆様こんにちは。TOSHIXXXです。

 先日仕事中に足の膝をぶつけてしまい、今走ることが難しい状況なんです(>_<)。折角のいい天気なんですがね・・・。(;´д`)トホホ。

 と、言うわけで午前中にイオンでホワイトデーのお返しやら買い出しに出た以外は宿舎で過ごしている次第であります(*_*)。

 そんな中、昨日の深夜に再放送されていた「眩~北斎の娘~」の録画を観たので感想をアップしたいと思います!!

 

 

1.2017年度№1作品

 この作品は昨年の秋に放送された、NHKのスペシャルドラマです。 

 その後文化庁芸術祭に出品され、見事にドラマ部門でグランプリを獲得いたしました!(^^)!

 主人公は江戸末期の浮世絵の巨匠、葛飾北斎とその娘お栄。二人は親子鷹の絵師として江戸の浮世絵界で活躍いたしました。

 葛飾北斎長塚京三さん。そして主人公のお栄さんを宮崎あおいさんが演じています。

 勿論この二人がタッグを組んでる時点で重厚な作品になるのは間違いないんですが、どうも宮崎さんを最近テレビで観てなかったので、彼女が二階堂ふみさんに見えて仕方がありませんでした(笑)。

 まあそれは置いておいてさすがは芸術祭グランプリ作品。ようやく私も再放送で視聴した訳ですが、これは永久保存版だと思いましたね( ^)o(^ )。

 とにかく一つ一つの場面の質感が、最近の民放ドラマとは全然違います!!では、特に印象深かったシーンをご紹介したいと思います。

 

2.満足のいく作品が描けない!!

 まずはこの場面。あのオランダ人医師シーボルト北斎の評判を聞きつけ、絵の注文をしてきます。

 しかしそれは普段手掛けている浮世絵ではなく、オランダの蘭画。つまりは西洋画のスタイルで描いてくれというものでした( ゚Д゚)。

 あの天才ゴッホが、日本の美術にハマって生前に大量の浮世絵の模写をしていたのは有名な話ですが、まさにその逆バージョンのような展開があったわけなんですね~。

 その話を自分への挑戦状だと感じた北斎は、お栄さん以下他の弟子達とも協力して作品を製作しますが、いかんせんジャンルが違うので納得のいく作品はできませんでした(*_*)。

 それでもさすがは北斎、当のシーボルトは大満足だった訳ですが、その絵を届けたお栄さんに仲介業者の商人が、お栄さんの描いた遊女の部分だけは拙かったと(彼女が描いたと知らずに)告白してしまいます( ゚Д゚)。

 ショックを受けたお栄さん。帰り道の橋の上で大いに凹みます。そこに通りかかった父北斎。自分だって、まだ一度も満足できた作品を描けたためしがない。それなのに何でまだひよっこのお前がそんなことで悩むのか。

 そんな暇があったら次に進め。この橋を渡ったらもう忘れるんだと二人は歩みだします。

 この気持ち、凄く良く分かります!!私も小説を四半世紀書いてきて、一度も満足のいく作品を書けた試しがありませんから( ;∀;)。プロアマ問わず全ての表現者はおおかれ少なかれ同じ気持ちを持っているはず・・・。

 それ故、この場面は私には特に刺さりました( ^)o(^ )。

 

3.お栄さんの恋

 今でいう才女の走りのようなお栄さんですが、私生活の方はさっぱりでございました(>_<)。元々変わり者という評判で縁遠く、やっと知り合いの浮世絵師と結婚したかと思ったらわずか3年で出戻りのバツイチに( ;∀;)。

 このエピソードは歴史秘話ヒストリアで放送してたので私も観ましたが、なんせ絵を描くこと以外に全く興味がないので料理はせずにいつも出前、掃除も一切しなかった(これは父北斎も汚部屋伝説で有名でしたので、その影響もあるかと・・・)らしいです。

 でも当時の夫は後の金子みすゞさんのDV夫のようなひどい人物ではなく、まだ寛容だったらしいのですが、彼女が自分の作品にいちいちダメ出ししてくるのに耐えられなかったみたいですね(>_<)。

 それはそうですよね~。例えば漫画家の弘兼さん夫婦、ミュージシャンの山下達郎さん夫婦、そして桑田佳祐さん夫婦とかは皆さん、奥様の性格が穏やかで夫を立ててる気がしますし、何よりちゃんと家事も育児もされてる気がします( ゚Д゚)。同業者の夫婦は色々と難しい・・・。

 そして出戻ったお栄さんを始終心配していた、余貴美子さん演じるお母さん。彼女は特に絵にも興味のないごくごく普通の女性でした。それ故北斎脳卒中で倒れてからも養生そっちのけで、まず絵のリハビリをさせようとした娘の異常さを案じつつ、無念の病死を遂げてしまいます。 

 母が亡くなって初めて自分の今までの薄情さに気付いたお栄さん。絵を納めた帰りに立ち寄った茶店で川辺を見つめながら、またもや凹んでしまいます。そんな彼女を一枚の絵(オランダの画材を使った浮世絵でした)を見せて励まそうとした池田善次郎さん。

 松田龍平さんが演じていましたが、彼はかつての北斎の門人でお栄さんにとっては幼馴染のような存在でした。

 そのシーンが実に最高だったんですね(*^^*)。じっとその絵を見つめてじわっとお栄さんの目に涙が浮かぶまでの間。これが実に長いんですが、我々に彼女のヒリヒリするような思いを充分に届けてくれました!!

 そしておもむろにお栄さんは善次郎さんの顔に手を伸ばし、撫で回します。

 皆さん、考えてもみてください。江戸時代ですよ、江戸時代の女性が公衆の面前でしかも白昼にそんなこと堂々とするなんて、これは超異常な事態ですよ( ゚Д゚)。しかし、それ位彼女の思いは最高潮に達したんです。

 その後のお栄さんのナレーションがこう来ます。「善次郎さんの優しさは毒や。そして私はその毒を飲む決心をした」と。

 く~、これは久々に凄いシーンでした(>_<)。安易じゃないんですね。単なる説明じゃないんですね。これが本当のドラマなんです、脚本なんです!!このシーンの後、二人は男女の仲になるのですが、当然我々視聴者もここまで描写してくれると素直に入り込めるわけです。

 結局この恋は実ることなく、最後は善次郎さんは亡くなってしまうのですが、この体験がきっかけとなり、お栄さんは傑作「三曲合奏図」(かつしか酔女作)を完成させるのです(*^^*)。

 

4.幸福な父娘

 その後、お栄さんは再婚することもなく父北斎と共に画業に没頭。父北斎はご存知、富嶽百景シリーズで時代の寵児となり、90歳近くまで描き続けての大往生。そしてお栄さんも弟夫婦の家で同居しながら、女流浮世絵師としてその一生を全うします。

 古今東西の芸術家の歴史で、父子で活躍した例というのはありますが、それは父と息子の場合がほとんどです。父と娘が同時代に、しかも同じ工房で活躍したというのはこの北斎とお栄さんだけだったのではないでしょうか( ゚Д゚)。

 そう考えると改めて江戸時代の日本というのは、本当に先進的な社会だったんだなと感じます。やっぱりこの江戸時代の基礎を築いた神君家康公の偉大さは計り知れませんね。VIVA!!

 以上、感想でございました。多少きわどいシーンもありましたがこの作品は是非、学校の教材にも使うべき傑作だと思いました。当然DVD化もすべきでしょうね~。

 ではこれから私は掃除をいたします。皆様もよい休日を☀

f:id:TOSHIXXX:20180310162207j:plain