「今昔百鬼拾遺」三部作を読んで

 皆様おはようございます!TOSHIXXXです。

 先週末に大阪で開かれたG20、大きな混乱もなく無事終了しましたね(*^^*)。大阪市内にもようやく平穏が戻ってまいりました。

 大雨が心配ですが、万博が決定し、秋にはラグビーW杯も開催される。今年は大阪にとってはいい1年になるんじゃないかな。そんな気がいたします。

 そんな訳で、先週末に引きこもって読書した(笑)、京極夏彦先生の「今昔百鬼拾遺」三部作の感想を本日はアップしたいと思います!

 

 

1.はじめに

 私は京極夏彦先生をとてもリスペクトしておりまして。

 あの圧倒的な知識とポップなキャラクターセンス(会話文とか本当に爆笑しちゃいますよね~)。本当に先生の世界観は唯一無二でございます(*^^*)。

 いわゆる京極堂シリーズは、欠かさず読ませていただいております。そして今回は京極堂シリーズの主人公、中禅寺明彦の妹君、中禅寺敦子女史と、シリーズ内の作品「絡新婦の理」に登場した女子高生、呉美由紀のコンビが3つの事件を解決してくれました。

 4月から毎月、別々の出版社から発売・・・年号を挟んでのリリースラッシュはファンにはホント嬉しい悲鳴でしたね(*^^*)。

 

2.「鬼」(平成31年4月19日発売 / 講談社タイガ

 まずはこの作品からです。

 「先祖代々、片倉家の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだと云う話でした」昭和29年3月、駒澤野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪異と見える事件に不審を覚え解明に乗り出す。(本書裏書より)

 これはジャブ?世にも奇妙な物語の第一話!?う~ん、他の方のレビューでもありましたが、先生この作品では果してどこまでギアを入れていたのかと(苦笑)。

 事件はかなり陰惨なんですが、犯人は消去法でいくとこの展開しかないのかなと思いましたし、研ぎ師の大垣氏が犯人にそこまでビビるのかな・・・と。

 犯人自身も単なる生まれついてのサイコパスで片付けてしまってますし。凌雲閣の陰鬱な描写はさすがだと思うんですが、このレベルなら最近の文芸部の高校生でも書けるのではないか。失礼ながら先生の大ファンだからこそ、そう感じてしまいました。

 事件自体はシンプルなので、京極堂シリーズで云えば「姑獲鳥の夏」路線なんですかね。この作品が一番短いので、私は2時間で読めました(*^_^*)。

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3.「河童」(令和元年5月25日発売 / KADOKAWA

 次はこの作品です。

 昭和29年、夏。複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。(本書裏書より)

 この作品は水つながりと、そんなに陰惨な事件ではなかったので、私は京極堂シリーズの「狂骨の夢」に近い作品かな。そう感じました。

 冒頭の呉美由紀が学友と繰り広げる河童談義。本編にほぼ無関係の内容がいきなり50ページ近くも延々と続くのは、さすがは京極先生!!長年のファンなら思わずニヤリですね(笑)。

 事件自体はトリックってないの?そもそもこれって連続殺人なのか?そんなオチなので淡白ですが、あの多々良先生が今回も大暴走で飽きさせません。私的には、多々良先生のイメージはカンニング竹山さんなんですけどね(笑)。

 被害者それぞれの思惑があっての財宝強奪計画も何となくロマンを感じますし、初めて京極先生の作品を読む(あんまりそんな方はいないかと思いますが・・・)なら、この作品かな。私はそう思いますね。

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4.「天狗」(令和元年6月25日発売 / 新潮社)

 最後はこの作品です。

 昭和29年8月、是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられていた天津敏子の悲恋が重なり合い―。

 「稀譚月報」記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を顧みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。(本文裏書より) 

 さすが天下の新潮社!!素晴らしい要約でございますね(*^^*)。しかしいざ読んでみると、上記程哀切も憤怒もないというか、悲恋もね・・・。正直その辺りは軽いな~。私はそう感じてしまいました(>_<)。

 ただトリックも含め、三部作の中での完成度は文句なしにこの「天狗」が高いと思います。冒頭、かなり危機的状況にありながらもどこかのほほんとした呉美由紀・篠原美弥子の掛け合いはホントに秀逸ですからね(*^^*)。

 ただいい所ばかりでもなく。今作での過剰なまでの主義主張が私には堪えました(>_<)。

 京極先生、最近は反戦天皇制への疑問、そしてジェンダーフリーと、文化人おきまりの左翼リベラルよりの価値観を作品で出されてる気がするんです。

 ただ個人的には昔みたいにそんな浮世のことなんかどうでもいい。平成の泉鏡花的存在の京極先生のままでいてほしかった。ついそんなことを考えてしまうんですね・・・。ごめんなさい(>_<)。

 特に篠原美弥子を介しての女性差別糾弾のシーン、思いは私も勿論同じなんですがどうにもくどすぎるかなと。

 まあその部分と余りに犯人の殺人動機が非現実過ぎるということを除けば、この作品が一番読み応えがございますよ!!やはり順番は鬼⇒河童⇒天狗と読むのがいいと思いますね(*^^*)。

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5.京極堂シリーズ続編も先生、お願いいたします!!

 とまあ、少し辛口の書評になってますが、この週末で一気読みしてしまうだけの面白さは勿論いう間でもなく。やはり昔の先生の凄さから期待値が高くなりすぎてしまうんですよね・・・。それでも長年のファンの方はもうご馳走食べてお腹一杯、大満足!!そう思われているのではないのでしょうか(*^^*)。

 さて、そうなるとやはり気になるのが本家の京極堂シリーズの次回作。いつものように「鵺の碑」というタイトルは決まってるんですが、発売延期が続いて中々発表されませんね(>_<)。

 こうなればX JAPANの新譜とどちらが先に発表されるか賭けたいところです(笑)。我々ファンはそれこそ妖怪ろくろ首のごとく、首を長~くして待ってますよ、京極先生!!

 それでは今朝はこの辺で。九州地方の皆様は特に豪雨にご注意くださいね☔

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